TokoTokoChihoChiho’s diary

短歌と短文、たまに長文、書いてます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

障害者施設反対68件 21都府県、中止・変更 (毎日新聞調査)

https://mainichi.jp/articles/20191223/ddm/001/040/126000c 近所に障害者交流センターができるときにも反対があった。***********そこはかつて池だった。私が引っ越してきたときは、芥が浮いている池だった。けれども誰かが捨てたのだろうか、アヒルが二羽…

小潟水脈歌集『時事淡譚』より

明日(あした)から母はメラミン食器だと社員食堂立つ時思ふ 介護事務所とデイ施設から返されて玄関のキー三個となりぬ 父の妻、母の夫も看しといふ人より箱詰めりんごが届く 小潟水脈 作者はおそらく長い間お母様の介護をされていたのだろう。 私自身は、父…

『母へのラブレター』と八千草薫さん

https://www.bungeisha.co.jp/bookin…/detail/4-8355-5444-2.jsp2002年ごろのこと。 「母へのラブレター」というテーマで短いエッセイを書いてみたら、入選して活字になった。そのときの選考委員のひとりが八千草薫さんだったので、(自分勝手な話だけど、)…

動きだそう。

9月末に友人が亡くなった。 同じマンションで、同年に出産し、 子育て教室や幼児教室も一緒に通った。 それから数年は別のところに通わせていたが、 小学校でまた一緒になって、 彼女のお子さんの方が軽度とはいえ、 同じ支援学校の中等部に進学することにな…

歌は何処から

2019年10月20日の朝日新聞短歌時評 :「歌は人」でいいのか(松村正直):についてふと思ったこと。 時評には、 ①「作品は作品として自立しているのであって、作者の人生とは関係ない」 ②「作品と作者が不即不離の関係にある」 という二つの考え方がある(佐…

意志表示 (岸上大作)

意志表示せまり声なきこえを背にただ掌の中にマッチ擦るのみ 地下鉄の切符に鋏いれられてまた確かめているその決意 (岸上大作) ※「意志表示」の「志」は原文ママ。 「思う」ではなく、確固たる「志」なのだろう。 意思表示、せぬひと多く、意思表示、する…

歌集『カミーユ』(大森静佳)より

追うというより追いつめてしまうから琵琶湖に赤い月がのぼるよ 八月のわたしにだけは見えていたあなたの奥に動かない水 大森静佳 わたしにはとても詠めないけれどとても好きな歌がたくさんあった。 この二首が特に好きということではない。 琵琶湖、と、動か…

歌集『風のおとうと』(松村正直)より

一つ一つは小さき花のさるすべり吹かれるままに坂をころがる ねえ阿修羅まだ見ぬひとに伝えてよ今日ここにいた私のことを 喪主である母を支えてたつ兄を見ており風のおとうととして 松村正直 ふともれたつぶやきの中に「存在」の深みを思わせる・・・などと…

歌集『わたしも森の末端である』(松山紀子)より

かりそめに古語を使ひて歌らしく見せてゐる「それ、なんかずるくね?」 「もう終り」嫌な言葉と思ふなり近所の梅の事だとしても 「お疲れ様」「おやすみなさい」「また明日」夢の中では仕事はしない 「雪の日はどうするんだ」と坂下るあなたは雪国生まれであ…

歌集『光のアラベスク』(松村由利子)より

小さくて可愛い足が好まれるシンデレラまだ人気を保つ ひたひたと迫り来るもの漱石も徴兵逃れをしたという説 詩を問われ詩人は答う「一滴の血も流さずに世を変えるもの」 戦争のレシピ手を替え品を替え出てくる世紀彩りもよく パール・バック知らない若い人…

旅人(前田康子歌集:現代短歌文庫より)

春の雨踏みつつ帰る足音は迷えるように我が家で止まる 七草のみつからぬ土手旅人になりたいと言う夫は何度も 前田康子 そういえば、私の夫も「旅人になりたい」と言っていた。 結婚してまもなく、たくさんの友人が遊びにきていたときに、 「50歳になったら、…

『遺伝子の舟』(森垣岳)より

父親の気持ちがポストに届けられ春の冷たい雨に濡れおり 三人の妻を娶りし父親を鋏でちょきちょき切り取ってゆく 遺伝子の舟と呼ばれし肉体を今日も日暮れて湯船に浸す 父親は真冬の寒さ いつの日か乾いて海の向こうへ消える 作者の森垣氏と経緯は違うが、私…

『青昏抄』(楠誓英)より

「ぼく」といふ一人称をつかふ少女(こ)が道にちぎりて捨てるヒメジョオン 「コロもいつか死ぬんでせう」と吾が犬の頭撫でつつ言ひたる少女 授業中トイレにこもつた少女ゐて「泣いた分だけ軽なつた」といふ 蝶みれば蛾とよび憎む少女ゐて父より受けし虐待を言…

3枚の福澤諭吉

お昼過ぎに到着した現金書留に添えられた手紙には、「お姉ちゃん(私のこと、長女なので)、お誕生日おめでとう。チイちゃん(娘)、お誕生日おめでとう。これからも元気でね。コーヒーでも飲んでください。◯◯さん(夫)にも1万円あげてください。」とあった…

引っ越し(12)(以前のブログから)

珈琲ショップの片隅で 12月のある土曜日の昼下がり。コーヒーショップの隅の席に陣取った。お隣りは、部活帰りの女子高生のようだ。小柄でおさげ髪。少し黒木華に似ていた。店内は満席だったが、土曜の午後らしいのんびりとした空気が流れていた。 ほっとし…

引っ越し(11)(以前のブログから)

『フィクションの表土をさらって』 玉城入野 著(洪水企画) 読み応えのあるエッセイ集である。 北野武や深作欣二の映画作品についての第一部。 島尾敏雄に関わる第二部では、福島の人々と著者と妻と、そして3.11が絡まる。 第三部は、著者の父・玉城徹との…

引っ越し(10)(以前のブログから)

人恋うてつつましすぎる若さなど杳(とほ)く眠らせ秋の水くむ 今野寿美(『若夏記』より「秋の水」) 今日、まだ若い母親だった頃の友人たちと新年のお茶会をした。今も忙しくしているひとばかりなので、むかしが懐かしいとかよかったとか、そんなことは言…

引っ越し(9)(以前のブログから)

仰向けに逝きたる蟬よ仕立てのよい秋のベストをきっちり着けて 杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』より 先日(12月)、目の前を通ってゆくものがあった。ふわっとはかなげだったが、ギョッとした。「蚊」だった。その話をSNSに投稿したら、「こちらでは蠅が飛んでい…

引っ越し(8)(以前のブログから移動)

バゲットを待つやうに待つわが父の焼きあがり時刻午後四時三十分 父はいま燃えてをらむよ菓子あまた皿に盛られて水色ももいろ 高木佳子『青雨記』より 或る日、父と母の歌を詠んだら、「両親のことが大好きなひとよりもあまり好きでないひとのほうが、よく父…

引っ越し(7)(以前のブログから移動)

月 木々が枝さしかわしあたためるたったひとつのたまごのように 佐藤弓生(『モーヴ色のあめふる』より) ブログでは横書きしかできないが、これは縦書きで鑑賞したい歌。縦書きだと、一首そのものが絵のように見える。漢字はすぐれた象形文字だなあとあらた…

引っ越し(6)(以前のブログから移動)

夕暮れの空につばさの烈しさの限界みせよ鳥であるなら 江戸雪(『昼の夢の終わり』より) 限界だー!と叫ぶことしばしば。 でも、叫んでいるあいだはまだ限界ではないのだろう。 叫ぶことすらできなくなったときは、地に臥すか、天を仰ぐか、だが、どうせな…

引っ越し(5)(以前のブログから移動)

種子深く時間は眠る人間の時計は進み続けて止まる 松村由利子『耳ふたひら』より 今日は母の誕生日だった。87歳である。「おめでとう」とメールを送ったら、「のこりのじんせいをたいせつにいきていきたいとおもいます。・・・」という平仮名ばかりの返信が…

引っ越し(4)(以前のブログから移動)

「わたしはいつ死ぬのかしら」ときく母に「あしたよ」といふ あしたは光 日高堯子『短歌往来』2017.2 介護短歌のコンクールなどで入賞している作品を見ると、「介護がんばってます。しんどいけれど、良いこともありました。」という感じのものが多い。それは…

引っ越し(3)(以前のブログから移動)

どの人の仰向く顔も花に映えこの世ならざる輝きに充つ 佐伯裕子(歌集『感傷生活』より) 結社には所属しているが、ふと、自分は適当に詠んできただけで、歌のことをよくわかってないと気付いたので、近隣の短歌講座にも通っている。 上の歌はそこで紹介され…

引っ越し(2)(以前のブログから移動)

耳底に梵鐘の余韻を残しつつ旅の終りの白足袋を脱ぐ 山口伊満(歌集『冬の蝉』より) 『冬の蝉』は、70歳から短歌をはじめ、96歳で纏められた第一歌集とのこと。 白足袋を脱ぐ、というところに、きっぱりとした潔さを感じた。 吾死せば反古なる短歌と知りゐ…

引っ越し(1)(以前のブログから移動)

この戦争の本来をいつどこで知る 犬ころのようにかけて万歳 金子きみ (歌集『草の分際』より) 勉強を兼ねて、気になる歌を挙げていこうと思ったのだけど、さて、最初はどなたのにするのか、というところでちょっと迷った。 全くお会いしたこともなく、何の…

カップヌードルに纏わる思い出、いろいろ

あさの支度をしながら、なんとなく観てしまう朝ドラ「まんぷく」。 カップヌードルの発売までにあれほどの苦労があったと知らされると、今更ながら有り難さがますけれど、ごめんなさい、当初の製品については、便利だと思ったけれど、「とびっきりおいしい!…

おひっこし

再開したブログが、運営会社の都合で閉鎖されることになりました。 それほど書き溜めていたわけではないので、推敲しながら、こちらに少しずつ移してゆくことにします。 歌詠み見習いをはじめてから、約13年。 それまでいろんなことにトライしてきたけれど、…