2019-03-29から1日間の記事一覧
種子深く時間は眠る人間の時計は進み続けて止まる 松村由利子『耳ふたひら』より 今日は母の誕生日だった。87歳である。「おめでとう」とメールを送ったら、「のこりのじんせいをたいせつにいきていきたいとおもいます。・・・」という平仮名ばかりの返信が…
「わたしはいつ死ぬのかしら」ときく母に「あしたよ」といふ あしたは光 日高堯子『短歌往来』2017.2 介護短歌のコンクールなどで入賞している作品を見ると、「介護がんばってます。しんどいけれど、良いこともありました。」という感じのものが多い。それは…
どの人の仰向く顔も花に映えこの世ならざる輝きに充つ 佐伯裕子(歌集『感傷生活』より) 結社には所属しているが、ふと、自分は適当に詠んできただけで、歌のことをよくわかってないと気付いたので、近隣の短歌講座にも通っている。 上の歌はそこで紹介され…
耳底に梵鐘の余韻を残しつつ旅の終りの白足袋を脱ぐ 山口伊満(歌集『冬の蝉』より) 『冬の蝉』は、70歳から短歌をはじめ、96歳で纏められた第一歌集とのこと。 白足袋を脱ぐ、というところに、きっぱりとした潔さを感じた。 吾死せば反古なる短歌と知りゐ…