TokoTokoChihoChiho’s diary

短歌と短文、たまに長文、書いてます。

短歌

歌集を上梓しました。

先月、第二歌集を上梓しました。 第一歌集は、支援学校の先生や保護者の方たちに読んでいただけたらと思い、娘の歌を中心に纏めたものです。後半に自分の職業詠が入ったのは、前半部分だけでは歌が少なく歌集の体をなさない・・・と思ったからで、あくまでも…

カルチャーラジオ「文学の世界」いま、心に響く歌の力「自分のためだけでなく(2)」

奇跡というのか、めったにない幸運というべきか、拙歌集「豊かに生きよ」がNHKラジオ第2放送のカルチャーラジオ「文学の世界」いま、心に響く歌の力「自分のためだけでなく(2)」で紹介された。 今野寿美先生の語りが素晴らしくて、自らの無意識まで掘り…

りとむ 2021.3月号より  熊のおなか

イシカワで撃たれた熊のおなかには柿、マテバシイ秋がいっぱい きいろ熊にあか熊白熊あまたなる落ち葉のかたちに散って重なる 北川美江子 りとむ「今月の十首詠」に選ばれた作品から二首。 これは・・・と思う歌に出会うと、急にこみあげてくるものがある。…

松村由利子氏講座 2020.11.22

科学をうたうー暮らしの中にも不思議は満ちて- | 福岡教室 | 朝日カルチャーセンター (asahiculture.jp) 昨日オンラインにて受講させていただいた。 遠方からでもオンラインで受講できるのはありがたい。 その間、娘はヘルパーさんとちょっと公園へ。 日常…

歌誌りとむ 2020年11月号から

2年ほど前から「りとむ」の会員にしていただいた。 楽しいことばかりとは言えない日々を過ごしているが、休日のひとときを歌詠みの時間とすることで救われている。心が喜びで満ちてくる。 今日は定休日なので、りとむを開いて会員の歌に目を通していた。とて…

近藤かすみ歌集『花折断層』より

たくさんよい歌があれるけど、良し悪しではなく、この場所はかつて私のテリトリーだった!ということで、《百万遍》と題された一連から。 バスに乗り百万遍に来てみればあはれパチンコ〈モナコ〉はあらず 角店のレブン書房に購ひし『マノン・レスコー』岩波…

三枝昂之歌集『遅速あり』より

壮大な歌集だった。人生が凝縮されているように思われた。大歌人や俳人をテーマに詠まれたものもあった。未曾有の災害や歴史的な出来事に関わる歌もあった。よって、いつものように、歌集の評は書きません。数首選んで、わたくしごと関連を書きます。 遠き世…

高木佳子歌集『玄牝』より

水搔きを持たざるゆゑに人間はもがきてけふを掴めずにゐる みづからもパノプティコンの中にゐて歩みてゐるを知らぬ稚さ 紙白く桃を包めばつつまれて桃はこの世にあらざるごとし 高木佳子 そこには透徹した眼差しがある。「共感します」などとは軽々しくいえ…

江戸雪歌集『空白』 より

黙るしかない日の雲の白ふかく世界が重いノートになって ミツマタが枝をひろげているところ汚名はまたも立ち上がりくる 江戸 雪 上記の二首。まさにこういう思いを抱いたことがあったが、、、 わたしが詠むとどろどろした歌になるだろう(-_-;)。 *****…

林 充美歌集『樹雨のパラソル』-歌と歩く365日ーより

3月11日 ただ一度旅せし北の国の海、のどかなりけりカモメ遊ばせ 3月12日 たぶんおまへのゐること忘れ逃げるだらう いざその時の「いざ」が来たれば 林 充美 2019年(平成30年)の一年間を綴った歌集である。 テンポが良く、作者の様々な表情や思いが感じら…

和嶋勝利歌集『うたとり』より

よく聞いて応へて詫びて赦されてさういふものになつてしまつた 紛争に分け入り分け入り手繰りたる蛇のやうなる落としどころを 和嶋勝利 「うたとり」とは「疑わしい取引」を簡略化した、いわゆる証券業界の符丁である、と本歌集の覚書にあった。 自分の思い…

小潟水脈歌集『時事淡譚』より

明日(あした)から母はメラミン食器だと社員食堂立つ時思ふ 介護事務所とデイ施設から返されて玄関のキー三個となりぬ 父の妻、母の夫も看しといふ人より箱詰めりんごが届く 小潟水脈 作者はおそらく長い間お母様の介護をされていたのだろう。 私自身は、父…