TokoTokoChihoChiho’s diary

短歌と短文、たまに長文、書いてます。

引っ越し(2)(以前のブログから移動)

耳底に梵鐘の余韻を残しつつ旅の終りの白足袋を脱ぐ

                 山口伊満(歌集『冬の蝉』より)
 
 
『冬の蝉』は、70歳から短歌をはじめ、96歳で纏められた第一歌集とのこと。
 
白足袋を脱ぐ、というところに、きっぱりとした潔さを感じた。
 
吾死せば反古なる短歌と知りゐつつ徒然に詠む今日二つ三つ
                        (山口伊満)
 
短歌に年齢はない、というが、もう若くない自分自身の実感として、新しいものを生み出す力や冒険する勇気は、若いひとにはかなわないような気がする。
でも、山口さんのように、生きてきた時代の重みを感じながら、奇をてらわず詠まれた歌、というのも良いものだ。
 
死せば反古、でも、歌が生まれると嬉しい。そして、まんまと、誰かの心に残る一首が生まれるかもしれない! などと思いつつ、今日も詠む。