TokoTokoChihoChiho’s diary

短歌と短文、たまに長文、書いてます。

引っ越し(3)(以前のブログから移動)

どの人の仰向く顔も花に映えこの世ならざる輝きに充つ

                佐伯裕子(歌集『感傷生活』より)
 
 
結社には所属しているが、ふと、自分は適当に詠んできただけで、歌のことをよくわかってないと気付いたので、近隣の短歌講座にも通っている。
 
上の歌はそこで紹介されたもので、歌集を拝読したわけではない。
よって、前後の歌を知らないが、花を観るために見上げた人々の顔の様子らしい。
だが、花に囲まれて彼岸へと向かう人の顔を想像してしまった。
 
このところ、不整脈や胸苦しいことがあって、眠るとき少し不安になる。そのせいかもしれない。いやな感じの夜は、「どうか明日も目が覚めますように」と願う。目が覚めたら「ありがとう」と思う。華やいだ生活をしているわけではないが、それでも、まだ生きてしなければいけないことがある。この世で、自分に与えられた仕事のようなもの、だけれど。
 
そして、
それほどキラキラでなくていいから、この世ならざる、でなく、この世で、輝きたい。
おばさんの力で。
 
天草はタコでしょと蛸の姿煮の大皿さしだすおばさんの力
                         (佐伯裕子)